スリリングな展開と随所に張り巡らされたストーリーの伏線もキッチリ拾われ、ちゃんとラストに辻褄が合う。それに役者の顔がじつにイイ! 本当に、現在シネコンや映画館で上映され、TVでも派手に宣伝を打ち、そこそこ有名な俳優が出ている映画の中にも、本作よりつまらなくて観る価値、お金を払う価値のない映画は幾らでもあると思う。この作品を観て下されば、“日本映画の新たな歴史の目撃者になった!”と驚いた石井の気持ちは良く解ってくださると思う。 今後、“本格アクション巨編!”等と謳う話題作を作ろうと思っている映画製作者、配給会社の方には是非この機会に『キヲクドロボウ』を観て頂きたい。そして今のうちにこうした優れた人材・才能を確保し、育てて欲しいと思う。彼らにはもっと大予算の、さらにスケールの大きな作品を手掛ける力が必ずある。後は誰が最初に唾をつけるか? では?
最後に、この『キヲクドロボウ』を制作したProject Yamakenの代表者にして共同監督(もうお一方は石田肇監督)を務めた山岸謙太郎監督のメッセージをご紹介しよう。
「インターネットが普及し、PC性能が上がりデスクトップで動画編集ができるようになってきた2000年夏、我々Project Yamaken。はネット上で発足しました。最初はインターネットで集まった仲間達と簡単な短編映画を作り楽しんでいました。しかし徐々に技術を学び、仲間が増え、同時にビデオやパソコンの高性能化にも助けられ作品はスケールアップしていきました。そしてこの度、我々の最新作「キヲクドロボウ」が短編映画館トリウッドの配給により一般上映の運びとなりました。今までとはひと味違った新時代の自主制作映画。楽しめるエンターテイメントとしての自主制作映画をお届けできればと思っております。
デジタルビデオ、パソコンの普及で爆発的に自主制作映画団体が増えています。そういった方々にこの作品を観ていただきたいです。今はパソコンと数人の仲間がいればここまでの作品を作れると言うことを知ってもらいたいのです。そうして日本の自主制作映画の底上げをすることができれば、日本の商業映画にもよりよい影響を与えられるのではないかと考えています。」
Project Yamaken代表・監督 山岸謙太郎
1967年12月、東京都生まれ
銃器&映画ライター 銃器評論家 射撃選手 映画評論家
年に3〜4回は海外の試合や訓練に参加し、実銃射撃の経験
を積み重ねている[現役のs射撃手」でもある。銃に関してはカタログデータや資料
からの引用、列記のみによる頭でっかちな知ったかぶり原稿が許せず、“自分の肉眼
と身体で知りえた情報を書く!”が信条。