
ちなみにFBIエージェントたちはSIG P226やグロック(FBIなので恐らくどちらも.40口径……という事はグロックはG22か?)で、長モノはMP5KA3 PDWとG3SG/1と“H&Kで統一”といった感じ。
いっぽうサウジ側、国家警察のやりかたもじつに愚か。アメリカの介入と、ひいてはそれによって自分たちが絶対君主であるサウード王家に睨まれる事を恐れるあまり、捜査を焦って無実の部下を拘束し、拷問する。結局疑いは晴れるが、上層部に対する不信感は拭えない。とりあえず家に帰ってアラーに祈り、頑張ろう……と励まし合うしかないのがサウジ流。
サウジ側はM16A4(レール付き)にM4A1、そして金持ち国=サウジを象徴するようにか、SIG SG552 COMMANDがこれみよがしに目立っていた。ハンドガンはUSP。
双方はそれぞれに事情を、特に上層部への不満と不信感を覚えているのだが、最初はそれをひた隠しにして「タテマエ」だけで付き合い、衝突する。しかし操作を通じて関わるうちに、お互いを相手の上司の前で立ててやったりして徐々に打ち解けていく様子が非常に丁寧に描かれ、一気に登場人物たちに感情移入してしまう。いつしか自分もこのチームのメンバーであるかのような気持ちになってくる。
日本の大阪を舞台に、日米の刑事が衝突しながらも理解し合い、共闘する……という筋書きの『ブラックレイン』(リドリー・スコット監督作品1989年)という名作があったが、さしずめこの『キングダム』は“中東版の『ブラックレイン』”。サウジ国家警察のアル・ガージー大佐役、アシュラフ・バルフムの冷静で寡黙ながらも芯は熱い男っぷりは、“ヨッ! 中東の高倉健さんっ!”と呼びたくなるカッコ良さ。マイケル・マン組常連にしてアカデミー賞ウィナーでもある黒人名優ジェイミー・フォックスと張り合っても、全く遜色のない存在感だった。