サウジアラビア。ある石油会社の従業員居住区で、大規模な爆弾テロが発生した。死者100人以上、負傷者200人以上……。ワシントンDC事務所の「緊急対策会議」に集められたFBI捜査官たちも、ロナルド・フルーリー捜査官(ジェイミー・フォックス)の状況説明に言葉を失うのだった。親密な関係にあった同僚をそのテロで失った法医学調査官ジャネット・メイズ(ジェニファー・ガーナー)は涙ぐむ。その耳元で何事かを囁くフルーリー。
鑑識チームの爆発物専門家、グラント・サイクス(クリス・クーパー)は現場の映像から、爆発は米軍が使用する高性能爆薬と起爆装置によって行われたと分析。情報分析官のアダム・レビットはFBIがチームを現地に派遣すべきだ、と主張する。
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「20世紀に於けるアメリカとサウジアラビアの関係」を記録した映像が疾風の如く駆け抜けるオープニングタイトルに一気に惹きつ
けられた。“こんなに微妙で複雑な関係の上に、両国は成り立っているのか!”と驚く。資料映像としても見応え充分。圧倒的な演出力に、期待も高まる。
この100年間、アメリカ、サウジアラビアの両国はお互いを「盟友」とする親密な間柄とされてきた。しかし、9.11テロの際の実行犯、19人の内、じつに15人はサウジ人だったのだという。さらにこのテロの首謀者とされ、現在のその行方が杳として知れないオサマ・ビンラディンも、現在は国籍を剥奪されてはいるもののサウジ人だった。
そんな国で起こった、アメリカ人居住区での凄惨な爆破テロ。半ば「私怨」に駆られての行動ではあるものサウジへの入国と直接捜査を望む現場のFBIエージェントたちと、コトを穏便に済ませてしまいたい合衆国政府の緊迫した駆け引き。組織間の縄張り意識や、権力者同士の足の引っ張り合い。そんなゴタゴタの調製にエラく時間と手間が掛かるのが、アメリカ流。