ロドリゲス監督自身は世代的にやや若く(1968年生まれ)、「グラウインドハウス」での映像体験をリアルタイムでは味わっていないらしいのだが、そこはそれ、親友にして兄貴分のクエンティン・タランティーノが折りある度に自身のコレクションであるB級作品のビデオを観せ、当時の様子を熱く語るなど、まさに「英才教育」を施されたというから完璧だ。
そして『エル・マリアッチ』からの自身の原点でもある、“あり得ねぇ!”強烈おバカ・ガンアクションの限界をさらに更新するかのような超絶技巧の数々には思わず絶句! 感動! そして最後には涙すらこぼれてしまう。まさにWEB COMMAND読者の方々にこそ観て頂きたい、超一級、もとい、超B級のガンアクション怪作だ。
装弾数がどうのこうの、とか、あの銃のパワーだとこんな威力ないんじゃないか? とか、薬莢が出ない、とか、そもそもどうやってトリガーを引いているんだ? とか、もうそんな細かい事は一切カンケーなし! ただ黙って、眼の前で展開する驚くべき光景に腹を抱えて笑えば良し。
また、「グラインドハウス」ならではの古き悪しき雰囲気の演出も、このロドリゲス監督版のほうがキョーレツ! わざわざ入れられたフィルムのキズ、シミ、色褪せ、音の途切れや飛びは『デス・プルーフ』も一緒だが、この『プラネット・テラー』ではフィルムが燃えて溶けてしまったり、極め付けは「1巻紛失しました。申し訳ございません」とテロップが出てハナシが一気にぶっ飛んだり、と、やりたい放題。
それでいながら内容そのものは登場人物一人ひとりの複雑な内面や生活状況、それぞれが抱える苦労や悩みを丁寧に掬い上げ、綿密に描き出す事で、ある種見事な人生群像劇になっているところが意外。それら幾重にも張られた横糸が、平凡で人生に飽きていたヒロインが救世主として目覚め、やがては伝説の存在に昇華して行く、という華々しいメインストーリーに鮮やかに収束! 最後は美事な錦の旗となって翩翻とはためくような面白さ、痛快さに、胸がスッキリする事はウケアイだ。
久々に「映画らしい映画を観た!」というのが、正直な感想だ。
片足M4姐さん=チェリーを演じたローズ・マッゴーワンの雄姿は、まさに映画史上に残るカッコ良さ。これは恐らく、全世界のコスプレマニアや美少女フィギュアメイカーも、放っては置かないだろう。
また、アメリカ公開版では『デス・プルーフ』と『プラネット・テラー』に挟まれて(?)上映されたダニー・トレホ主演作『マチェーテ』の“ニセ予告編”が、本作の冒頭に上映されるが、これがまたクダらなそうでイイの何の! これは絶対に本編が観たいのだが、ロドリゲス監督、撮ってくれないだろうか?
1967年12月、東京都生まれ
銃器&映画ライター 銃器評論家 射撃選手 映画評論家
年に3〜4回は海外の試合や訓練に参加し、実銃射撃の経験
を積み重ねている[現役のs射撃手」でもある。銃に関してはカタログデータや資料
からの引用、列記のみによる頭でっかちな知ったかぶり原稿が許せず、“自分の肉眼
と身体で知りえた情報を書く!”が信条。