陸上自衛隊の最大行事である富士総合火力演習が、8月27日に静岡県御殿場市の東富士演習場畑岡地区にて実施された。
本年の演習規模は参加人員約2,000名、戦車装甲車約60両、各種火砲約40門、航空機約20機、支援車両等約400両で、主な参加部隊は地元富士駐屯地、滝が原駐屯地の富士教導団各部隊、千葉県木更津駐屯地の第1ヘリコプター団と第4対戦車ヘリコプター隊、三重県明野駐屯地の教育支援飛行隊、各方面からの隷下部隊、富士学校音楽隊、航空自衛隊となっている。本演習で使用された弾薬は約35トン、経費は3億2千万円と国内最大規模を誇る。
演習本来の目的は自衛官に対する戦闘訓練教育であるが、自衛隊による広報手段の一つとしても活用され、昭和41年から訓練最終日を一般公開している。
国内での実弾射撃訓練を見られるのは本演習のみであり、その影響か毎年3万人前後の見学客が訪れ、年々入場券の応募倍率も上がっているのが現状だ。最近では、場所取り等でのトラブルも発生していると耳にすることもある。
また、入場券は事前応募にて入手するのだが、最近ではインターネットオークションに入場券が出品されるほどの過熱振りで、今後は一般公開日を以前のように2日間にし、出来るだけ多くの人が見学できるよう配慮することも必要ではないかと思われる。
訓練の流れであるが、前段では主要装備品の紹介で、航空攻撃では今年初登場のF-2支援戦闘機が青森県三沢基地から参加した。ただ、残念ながら、天候不良のため26日の事前予行のみ飛来し、実弾を投下しない模擬対地射爆撃を実施のみとなった。
その後は特科部隊、迫撃砲、誘導弾、対人障害、ヘリ火力、普通科火力、戦車火力と実弾による射撃が行われ、最後に行われる第一空挺団による自由降下も雲低のためキャンセルとなったことは残念である。
後段では、発見した敵部隊を各部隊の共同攻撃により撃退するもので、OH-1観測ヘリコプターによる偵察から始まり、ヘリ部隊と連携したヘリボーン行動では昨年から行われているファストロープ降下が見られ、特科部隊による支援射撃の中、地雷原処理や各種誘導弾による攻撃の後、最後に戦車、装甲車、航空機による全総力を挙げた一斉突撃により演全ての演習を終了した。