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シッコ

Sicko
シッコ アメリカには国の運営による健康保険=「国民皆保険(こくみんかいほけん)」が存在しない。よって国民は会社の福利厚生に頼るか、実費で民間保険会社に加入するしかなく、無保険者は約5000万人にものぼる。今やアメリカでは、事故、犯罪、テロ、戦争ではなく、治療費を払えないという理由で命を落とす人数のほうが圧倒的だ。
ある大工は仕事中に左手の中指と薬指を切断。切り落としてしまった指を持ち、慌てて病院に駆け込んだ彼に医師は言った。
“中指をくっつけるには6万ドル、薬指なら1万2千ドルの手術代が必要です。”
保険に入っていなかった彼は薬指だけで我慢した……。
他にも国民皆保険がないばかりに、無保険者5000万人には数多くの悲劇が生まれているが、じつは2億5千万人の保険加入者にもトンデモナイ事態が! 

マイケル・ムーア監督が映画製作のための情報収集を始めたところ、メールで寄せられた悲惨な体験談は最初の1週間で25,000通以上だった!
保険料が安い代わりにクォリティの低い「HMO」加入者の夫婦は、保険金支払いをケチる会社から必要な検査や治療を受けるための許可が下りず、夢のマイホームを売らなければならなくなる。
高い保険料を取る有名企業も、加入時に既往症を申告しなかった、等とイチャモンをつけ、イザという時に保険金を支払わない。ナント交通事故で意識を失い、救急車で運ばれた加入者に対してまで、“何処の病院に行くか報告しなかったから保険金は支払えない”と言い放つ悪辣な企業も!

そして保険会社と結託した医師は、治療費の節約に貢献すると会社から貰えるボーナスを目当てに、必要な治療を患者に施さない。
さらに、9.11テロの時に現場で救援活動に当たっていた人々は瓦礫のホコリや現場での激務、極限状態のストレスで肺や精神、歯などに深刻なダメージを負ったにもかかわらず、政府からは見捨てられたも同然の日々を送っている……。

まさしく「腐り切っている」としか言いようのないアメリカの医療界、保険業界。
こんなバカげた事態をホンキで変えようと、マイケル・ムーア監督は弱者の言葉にヒタスラ耳を傾ける。そして彼独特の軽妙で解り易い説明で、医師、病院、保険会社、政治家の癒着を暴いてゆく。
ムーア監督の行動はアメリカだけにとどまらない。国民皆保険が機能しているカナダ、イギリス、フランスの事例を克明に取材している。 アメリカでゴルフ中に重傷を負ったが、医療費を払うのが嫌で怪我したままカナダに帰った紳士。また、国境近くに住む若いシングルマザーはカナダ人のボーイフレンドと夫婦を装って治療を受ける。

イギリスでは医療費が無料なばかりか、病院までの交通費をも国が負担する。
フランスも医療費は無料。しかも医師が24時間体勢での往診を、誇りを持って勤めている。そして病気療養や出産、育児のための長期有給休暇を国の命令で会社が実行しなければならず、また新生児が生まれた家庭には「国家公務員の乳母」が週に2回、訪れる。これによって先進国で唯一、少子化に歯止めをかけた、という実績が説明される。
そして最後には、保険会社や医師に治療を拒まれた人々や見捨てられた9.11のヒーローたちを伴い、船をチャーターして「敵国」であるはずのキューバにまで乗り込むマイケル・ムーア監督。その結末とは……?


監督/脚本/製作:マイケル・ムーア
製作:メガン・オハラ
編集:クリストファー・スワード、ダン・スウィエトリク、ジェフリー・リッチマン
8月25日(土) シネマGAGA!他全国ロードショー
2007年/アメリカ映画/2時間3分/原題『Sicko』/提供・共同配給:ギャガコミュニケーションズ×博報堂メディアパートナーズ

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Sicko©2007Dog Eat Dog Films,Inc
Artwork©2007The Weinstein Company. All rights reserved

※2007年8月付けの情報です。


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