1944年のスペイン。フランコ独裁政権の弾圧に対抗し、山間部のゲリラたちはいまだ激しい抵抗戦を繰り広げていた。おとぎ話が大好きな少女オフェリア(イバナ・バケロ)は臨月の母親カルメン(アリアドナ・ヒル)と共にその山間部に向かっていた。仕立て屋だった父を内戦で亡くした後、その山間部の駐屯地を指揮する将校、ビダル大尉(セルジ・ロペス)の元に母が身を寄せ、再婚したからだった。
大尉の子を身籠って以来、母はひどく体調を崩していた。小休止のために車が停まった時、オフェリアは山道脇にあった石像を見つける。オフェリアが落ちていた破片を元の位置に戻すと、大きな昆虫が飛び出した。“妖精に会った”と信じるオフェリア。
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『ハリー・ポッター』のシリーズや『ロード・オブ・ザ・リング』、そして『エラゴン』など、いわゆるファンタジー系、魔法モノ、の作品は、昨今、非常に勢いのあるジャンルである。
確かにどの作品にも目を見張るような特撮やCG、壮大なセット、豪華スターの共演など、ヒットする要素がいっぱいだ。大人から子供まで皆で楽しめるし、ただのおとぎ話、と決め付けると、意外と現代社会が抱える問題点を鋭く風刺していたりして侮れないコトも多い。まあ、安心して楽しめるジャンルの映画、である事は間違いない。
しかし、このWEB COMMANDでそういうジャンルの映画を紹介することは、普通ならまず考えられない。ガン&ミリタリーからまず想像するのは「現代的」あるいは「現実的」といったキーワードであり、これはまさに「魔法」や「ファンタジー」とは相容れない要素だからだ。
ところが、この作品『パンズ・ラビリンス』には「戦争」が重要な要素として取り入れられている。その題材となった戦争は1936年に始まった「スペイン内乱」である。フランコ将軍率いる軍が一斉蜂起し、当時の共和国政府乗っ取りを企てた。狼狽する政府をよそに、「羊のように大人しいハズ」と思われていた民衆が一斉に抵抗し、激しい内戦状態になった。