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『シッコ』

『シッコ』

日本にもイギリスやフランス、カナダには及ばないながらも「国民皆保険」の1種と呼べる「国民健康保険」の制度がある。しかしながら患者の自己負担額は従来の20%から30%に増やされたし、やれ出産には適用されないだの、この治療には適用されない、だの、制限が多すぎる。そして今後はますます需要が高まりそうな「老人介護」については最初から民間に丸投げした結果、コムスンの不正のような重大な不祥事が早くも起こってしまっている。 何だか日本もそっち方向に向かってそうでコワい。しかしハッキリ言っておくが、アメリカの悪い所なぞマネる必要なし! お手本になりそうな国や制度は他に幾らでもあるじゃないか。日本もフランスのようなシステムなら、少子化問題など一発で解決だ。というわけで、先だっての参議院選挙にはひときわ真剣に臨んだ次第であります。



この作品を作るに当たって、“医療問題を扱うからには、自らも健康体でいなければならない!”と思ったムーア監督は、なんと-20kgのダイエットに成功したらしい。トレードマークの2重アゴも少しすっきりし、顔色もよくなったムーア監督は、高齢のアポなし取材先エントランスをなんなくスルー! のおまけつきだったという。 これに対し、全米の医療業界、保険業界はただちに「マイケル・ムーア対策マニュアル」を制作し、対処しようとしたらしい。 しかし今回、ムーア監督は『ボーリング フォー コロンバイン』や『華氏911』の時のように、ただエライさんや有名人に食い下がって文句を言う、といういつもの手法を控えめにしている。

『シッコ』

悲惨な状況に置かれた患者や被害者一人ひとりの声を静かに聴き、その姿を描き、また彼らに救いの手を差し伸べる無名の医師や薬剤師、さらには保険業界、医療界の腐敗を告発する勇気ある人々。そうした無名の、しかし行動する人々にスポットを当て、自らもサポートに徹しているのだ。ユーモアや笑いに包まれた解り易い構成の中にも、観た人に“何かしなければ!”と思わせる芯の通ったメッセージの強さ、真剣さに心打たれた。 まさしく現代人必見の映画。Web COMMAND読者の皆様にも絶対に観て欲しいし、皆で考えて欲しい。






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石井健夫(イシイ タケオ) プロフィール

1967年12月、東京都生まれ
銃器&映画ライター 銃器評論家 射撃選手 映画評論家
年に3〜4回は海外の試合や訓練に参加し、実銃射撃の経験 を積み重ねている[現役のs射撃手」でもある。銃に関してはカタログデータや資料 からの引用、列記のみによる頭でっかちな知ったかぶり原稿が許せず、“自分の肉眼 と身体で知りえた情報を書く!”が信条。

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「シッコ」

STAFF
監督/脚本/製作:マイケル・ムーア
製作:メガン・オハラ
編集:クリストファー・スワード、ダン・スウィエトリク、ジェフリー・リッチマン

2007年/アメリカ映画/2時間3分/原題『Sicko』/提供・共同配給:ギャガコミュニケーションズ×博報堂メディアパートナーズ

Sicko©2007Dog Eat Dog Films,Inc
Artwork©2007The Weinstein Company. All rights reserved

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